191036 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

すしら・コ・ダイニキ

すしら・コ・ダイニキ

医療

おかげさまでウチの家族は病気で病院にかかることはありませんでした。一度長女があごを切ったときも近所のクリニックで縫いましたが、ドクターも上手で器具も不潔感は感じられず、いい治療が受けられました。おかげで傷跡も残りませんでした。カトマンドゥにも外国人にもいいといわれている信用できる病院はいくつかあります。ウチの場合どこにもかからなかったので、ここに書くのは遠慮させてもらいます。医療情報は現地在住の日本人に聞くのが一番です。NGO職員や現地日本人会、家族の会に入会することで情報を得ることも可能です。最後に私がこちらで医療講習会に参加したときにパリワールの会の原稿用にまとめたものを転載しておきます。

****************************************************************************
医療関係講習会に参加して

2月14日にJICA調整員さんによる医療関係講演会に参加しました。ネパールで生活していく上で、勉強になることだらけ。その中の一部をレポートします。

まず最初に。「今いるネパール人は厳しい環境の中で生き抜いてきた人たちなので、私たち日本人と同じと思ってはいけない。」ということを冗談交じりに言っておられましたが、まさにその通りだと思います。小さい頃にいろいろな病気にかかり、それでも生き残っているということは私たちにはない免疫をたくさん持っているのです。だから強いんですね~うんうん、納得です。

私たちのような日ネ家族の子どもはというと、ネパールで生まれたこと日本で生まれた子では強さが違うそうです。「ネパールで生まれた」というだけで病気には強いのだそうです。ですから、ネパールに住む際は日本で予防接種をしていても、薬の強さがまったく違うので、気をつけなくてはいけません。日本の予防接種は副作用を抑えるためにワクチン自体が弱いのだそうです。逆にネパールの予防接種は強いワクチンを打つので、接種後高熱を出したり、副作用があって当然なのだそうです。BCG一つをとっても日本ははんこ注射ですが、ネパールでは化膿はしますが皮下注射です。(はんこ注射は日本独特のものだそうです)ネパールで長く住むならネパールの方式で予防接種をした方がよさそうですね。結核については普段接している人たちが結核菌を持って歩いていると思った方がいいくらいだそうで、生後すぐに受けさせた方がいいそうです。

★接種時期と回数の相違
接種ワクチン・日本での接種方法・WHO奨励ネパールでの接種方法
BCG・生後3ヶ月ツ反陽性まで・生後直後
ポリオ・生後3ヶ月より2回・生後2.4.6.15ヶ月の4回
DPT・生後3ヶ月より4回・生後2.4.6.15.4~6際の間の5回
DT・中1頃に追加・14~16歳の間に追加
麻疹・任意・MMR:生後15ヶ月、4~6歳の間の2回
HB・対象限定・出生時、1~2、6~18ヶ月の3回

★接種間隔と多種同時接種方式
 日本ではDPT以外は単独接種が原則です。これは生ワクチン同士による干渉作用や、副作用が生じたときの原因追求をわかりやすくするなどが主な理由です。逆に海外では同時接種が日常的に行われており、受信回数を減らすことによりワクチン接種を徹底しようとする意図が含まれています。黄熱とコレラワクチンの組み合わせを除き、多くのワクチンは多種同時(同日)接種方式を採用することが可能です。

★その他JICA調整員さん推奨する予防接種
A型肝炎
予防接種により100%近く予防できます。小児は不顕性感染が多く発祥しても軽症なので、逆に感染させた方がいいとのこと。大人は重症化するので予防接種を薦めている。有効期間5年。

B型肝炎
ネパールで増えています。子供の学校で集団接種をやっているところは積極的に受けさせたほうがいいとのこと。増えている理由として、B.C型肝炎、エイズは接触感染で、タメル等で刺青が流行っていて、そういうところの針の使い回しから若者の間で広がってきているとのこと。有効期間3~4年。

狂犬病
発症すると死亡率100%。カトマンドゥは手軽にかまれた後もグロブリン注射が出来ますが、カトマンドゥ以外の地域ではそれが不可能なことが多いため。
もし犬にかまれたら、傷口を開いて十分洗浄すること。出来れば石鹸を用い、噴射させるように石鹸水をかけるといい。前歯のところにある唾液腺に菌がたくさんいるためと、同時に破傷風も持っていることがあるため。予防接種の有効期間は2~3年。

破傷風
錆びた釘などを踏んだりすると危険です。有効期間10年。

日本脳炎
致命率17%、後遺症30%。鳥や豚が近くにいるところに住んでいる人は注意。前はタライだけのものだったが、去年はカトマンドゥでも大流行。有効期間1~4年。

腸チフス
致命率10%。耐性菌が増えてきているが、発症しても重症化を防ぐ意味で有効。有効期間3年。

予防接種はお金がかかりますが、いざ病気にかかるともっとお金がかかってしまうので、保険という意味で受けておくのもいいですね。

★ネパールの食物とその対策
飲料水
ネパールの水道から出ている水には東京の下水と同じくらいの菌が含まれているそうです。(実際検査した真っ黒い水を見せてもらってゾッとしました)ですから、口に入る水は必ず沸騰したものにするように徹底する。5分間以上沸騰させると大部分の微生物は死滅します。ただし標高1000mますごとに、1分多く沸騰してください。山の湧き水も信用できません。標高4000mの湧き水を飲んでアメーバー赤痢になった人もいるそうです。とにかく自分のいる場所より上に生物がすんでいて、排泄物をしているとアウトです。

肉・魚類
肉の中心まで火を通す。火の通っていない肉を味見するのも危険。冷凍の肉も過信してはいけない。まな板も肉用と野菜用と分けるのが望ましい。豚肉は条虫(サナダムシ)症の原因になることもあるので、特によく火を通す。

生野菜
特に雨季は生野菜は食べない。サラダ菜のように葉の多いものは葉を1枚ずつばらばらにしてから十分に水洗いする。さらに沸騰している湯で30秒くらいゆでる。どの食物にもいえることですが、殺菌には電子レンジが有効だそうです。その効果は1秒でもいいので、電子レンジをかけることによって菌が死滅するそうです。残留農薬についてもゆでることにより減らせます。日本と違って、農薬の規制がないので、先進国で使えない危険?とされる農薬を使っていることもあります。特にインド産のものは注意。

卵類
殻をよく洗って、生食はダメ。肝炎の原因になります。

ミルク
一般的に売られている袋詰めの生ミルクはサルモネラ菌がいっぱいです。必ず5~10分間煮沸する。

※冷蔵庫も過信してはいけません。

重要:手洗いの励行
 ネパールに多い感染症は、生水、生野菜、土等から媒介されるものがほとんどです。トイレに行く習慣が根付いておらず、トイレに行っても直接大便を手で洗い流した後、石鹸で手を洗う習慣のないネパール。動物の糞もあちこちに散乱しています。お皿についた生水から感染することもあります。
予防は手洗い・生野菜を食べない・飲み水の煮沸です。
手洗いはもちろん石鹸を用いるのが望ましいし、ダルバートを手で食べるのもやめた方がいいとのこと。

その他
アフリカの子どもたちがお腹が大きいのは栄養失調ですが、ネパールでお腹の大きい子はたいてい寄生虫だそうです。時には寄生虫が2.3.キロになることも…

寄生虫についての興味深い話
日本にも寄生虫をかっている有名なお医者さんがいらっしゃいますが、その方の論は寄生虫をかっているとアレルギー反応が起きにくくなるということだそうです。ある喘息持ちのお子さんがお尻が痒いと言ったので虫下しを飲ませると次の日喘息の発作が出たそうです。アレルギーに関係する好酸球という白血球の一種が寄生虫がお腹にいる間はかまっているのでアレルギーの方までは手がまわらないが、寄生虫がいなくなったので、アレルギー反応のほうに行ってしまったのかなと言っておられました。面白いですね。

A型肝炎と似た症状のものにE型肝炎があるそうです。この2つは急性です。E型肝炎の症状は、A型肝炎と類似するが致死率はA型肝炎より高く、現在ワクチンはない。

ネパールの食事…油を使っているものが大半ですよね。よって、ネパール人は中性脂肪が多いそうです。ネパール人と同じ食事をしている人は注意です。あと、豆中心の食事が原因なのか、尿酸値も高いとのこと。痛風や結石の原因にもなります。
子どもの怪我で気をつけたいのが擦り傷。奥の方まで菌が入って、かさぶたの下から膿んでくることもあるので、こまめに消毒すること。

シャワーの水も同じく東京の下水ほどの菌が含まれているので、身体に傷がある人はシャワー後も消毒することを忘れずに。

長くネパールに住む人は1~2年に1回健康診断を受け、自分の過去のデータを見比べながら健康管理に気をつけましょう。
そしてホームドクターを持つこと。ドクターとの相性もあるので自分に合った人を見つけ、その人に尽くす。そうすると情深いネパール人のお医者さんは24時間体制で対応してくれるそうです。日本のお医者さんより信頼できる人はたくさんいるそうですので、お医者さんとの信頼関係を作ることで自分の健康も守られると言うこともいえるかもしれませんね。


© Rakuten Group, Inc.